メート君プロフィール
メート君とは?
入社3年目
制作部所属のAD
現在東京フイルムメートの広報担当
誕生日
6月15日
星座
ふたご座
性別
男性
身長/体重
22cm、90g
性格
おっちょこちょい
運動は苦手だけど、どんなスポーツにも詳しい「スポーツ博士」。
趣味
スポーツ観戦
好きな食べ物
カレー
お気に入りの場所
神宮いちょう並木
2015 12 25
メート君が行く
こんにちは、メートです。
今回は会社のどんなことを紹介しようかな~(^^)
・・・おや、会社の玄関に何か置かれている!
あ!入口に何かの展示コーナーができるって言ってたなぁ。
何の展示だろう??
うーん、これはカメラ、かな?
でも、普段会社で使っているカメラとはちょっと違うような・・・。
そこへ通りかかったのは前回のレポートにもご登場くださった
東京フイルム・メートのレジェンド・八田満撮影部長!
メート「部長!すみません、これはなんですか?」
八田「やぁ、メート君。これは東京フイルム・メートが設立された頃に使われていた時のカメラだよ。」
八田「会社が設立されたのが1972年。
その頃にちょうど使っていたカメラたち、というわけだね。
向かって左がアーノルド&リヒター社製のArriflex 16ST。
1952年に1号機が出来た息の長いカメラで、当時は主にゴルフ番組で使っていたんだ。
真ん中がキヤノン社製のSCOOPIC。いわゆるハイスピードカメラと言うヤツさ。
当時の『プロ野球ニュース』でネット裏からホームラン打球を撮るのいわゆる『球追い』用に導入したんだ。
右がシネマプロダクツ社製のCP-16R。映像の収録と一緒に音も録音できるカメラだよ。
今となっては当たりかもしれないけど、打球音が入っている番組は当時では画期的なことだったんだ。」
メート「カメラそれぞれに特色があるんですね!」
八田「フイルム・メートが主に担当していた『プロ野球ニュース』では
野球中継番組としては初めてこのCP-16Rを使って球場の生の音を入れた映像を使ったんだ。
番組ではこれだけにとどまらず、カメラ台数も
・上カメ(主に打球を追うカメラ)
・下カメ(ホームインの瞬間やバッター・ピッチャーのアップ)
・センター(ピッチャーの背後からのバッテリーの映像)
合計3台の違ったアングルからのビデオ収録体制を確立することで
旧来のものより臨場感あふれる野球中継番組が提供できるようになったんだ」
メート「そうだったんですね!そんな画期的なものだったこのカメラたちのお話は良く分かりました。
ときに、横に展示されているビデオテープの中身みたいなものは何ですか?」
八田「あぁ、これかい?これはテープじゃなくて、フィルムだよ。」
メート「(そうか、これが「フイルム」かぁ。。。)僕たちの会社の名前はここから由来しているんですね!」
八田「そう。会社で主に使っていたフィルムは主に
1本で3分弱撮れる100フィート巻と約11分撮れる400フィート巻の2種類だったんだよ。」
メート「えーーーーっ!?たったの3分ですか?」
八田「そう。しかもフィルムは感光したら撮った映像が見られないから、
ダークバッグという脇から両手が入れられる黒い袋の中に手を入れて、
その中を手探りでフィルムの交換しなきゃいけなかったんだ。
野球の撮影の時なんかはイニングの交代のタイミングを利用して大急ぎで取り換えたもんだよ。」
メート「えーっ!光に当たっただけで撮った映像が消えちゃうんですか!?
それは責任重大ですね。実際に消しちゃったご経験なんかは・・・?」
八田「自分ではやったことないけど、
隣でカメラ助手さんが誤ってフィルムを落として感光させたのを目撃した時は、
しばらくは自分が落とす夢を見てうなされたよ(笑)」
メート「今のカメラはメモリー機能がしっかりしているから
収録したものは滅多に消えたりしないけどその時代にもし確かに自分がその現場にいたら・・・
想像するだけでもゾッとします^^;では、ご自身が撮影で大変だと感じた事は?」
八田「フィルムの感光こそ経験はないけど、撮り逃しなんてのは度々あったよ。
秋田までプロ野球の試合を撮りに行ったのに、フィルムのチェンジが間に合わなくて
1-0の試合で肝心なホームインの瞬間が撮れなかった(苦笑)」
メート「確かに、唯一の得点場面が映像としてないのは痛いですね。」
八田「まあ、当時の先輩達が”ニュースだからみんな一日で忘れるさ”とフォローしてくれたけどね。
そうそう、ある時は現場でセッティングしてたらフィルムがうまく回らなくてね。
後日メーカーが検証したら幅16mmのフィルムのはずが14mmしかなくて。
メーカーも認める製造ミスだったんだ。あの時はさすがにびっくりしたな。」
メート「カメラマンは不測の事態に直面しても、
慌てずその場で出来ることを見出して善処する適応力が求められるんですね。」
メート「では、カメラマンとして働いていて、思い出深い現場と言ったらどこですか?」
八田「沢山あるけど、一つ挙げるなら江川卓氏の『空白の一日事件』かな。
あの日は朝七時前に会社にテレビ局から電話がかかって来て
“今から江川が契約するからすぐに現場へ行け!”
って。現場まですっ飛んで行って会見の瞬間をカメラに収めたときは、やったと思ったね。
急な発表で、しかも早朝だったから映像収録の準備が出来ていたのは2社しかなかった。」
メート「すごい!今でもTVで時折紹介される当時のニュース映像は部長が撮った物かもしれないんですね。
でも、そんな早朝から会社に待機していたなんて、やっぱりカメラマンの勘ですか!?」
八田「いや、そんな大それたものじゃないよ。
恥ずかしながら、その日はたまたま前夜飲みすぎて家に帰れなくて会社に泊まっていただけなんだ。」
メート「カメラマンにとってはそういう”運”も必要なんですね(笑)」
八田「そうだね。技術向上への努力はもちろん、
視聴者が見たいと思う映像が撮れるチャンスを逃さない運も必要かもしれない。
でもメート君、カメラマンにとって一番大切なことはなんだと思う?」
メート「うーん。技術よりも運よりも大切なモノ・・・何でしょうか?」
八田「一言で言うと”カメラを好きになる事”だね。僕なんかカメラが好きで好きで、
新しいカメラを手にするたびに、世の中にはこんなカメラがあるんだと喜んだものだよ。
そう言うカメラに対する思いがゆくゆくは自身の技術を助ける部分になると思うんだ。
面白いものだよ、カメラって本当に。」
―八田部長、色々貴重なお話、ありがとうございました!
会社設立当初のカメラの思い出を振り返ることで、
フイルム・メートが長いテレビの歴史の中で
深くスポーツの番組に携わってきたのか改めて知ることができました。
そして、時代や撮影媒体が変化しても、
撮り手たちのカメラへの強い思いが”良い映像”に直結するんだと、
話していて痛感しました。
未来のカメラマンを目指す人たちに、今回の対談が参考になったら嬉しいな。
今年も一年、コラムを読んでくれてどうもありがとう!
来年も東京フイルム・メートのこと、
番組制作のお仕事について、
沢山お伝えできるように頑張りますっ!!
それでは皆さん、良いお年を。。。(^^)
閲覧下さり、ありがとうございました!
☆メート☆